「今週だけで先週の3倍お預かりしました」——衣替えの時期、クリーニング店の受付カウンターでよく起きる光景です。普段は1日20点程度の受付が、衣替えの2〜3週間だけ50点、60点と積み上がります。
止まるのは洗う工程ではありません。人を増やせば乗り切れるはずなのに、なぜ毎年同じ時期に同じ場所でつまずくのでしょうか。詰まるのは普段は何の問題もなく回っている受付の手順の方で、点数が跳ね上がった瞬間に追いつかなくなるためです。
衣替えの2〜3週間だけ、受付の手順が壊れる
普段の受付は、伝票に手書きで番号を振り、仕上がり予定日を計算し、急ぎの依頼だけ目立たせておく、という手順で十分に回ります。ここに繁忙期の点数が乗ると、次のようなことが起きます。
- 手書きの管理番号が枝番だらけになり、似た番号の伝票が並んで探しにくくなる
- 仕上がり予定日を都度計算していると、実際の処理能力とズレて、伝えた日に間に合わなくなる
- 急ぎ品と通常品が同じ棚に混ざり、優先順位を付箋や伝票の色だけでは管理しきれなくなる
これは受付担当者の能力の問題ではなく、普段のキャパシティ前提で作った手順を、繁忙期の点数のまま使い続けていることが原因です。繁忙期だけ人を増やすのか、手順そのものを点数が増えても壊れない形に作り替えるのか、この時期が来る前に決めておく必要があります。
Before / After
| Before | After | |
|---|---|---|
| 管理番号の付け方 | 手書きの通し番号、繁忙期は枝番で対応 | 受付順に自動採番、点数が増えても重複しない |
| 仕上がり予定日の案内 | 当日の混雑感で都度計算 | 受付時点の残点数から自動算出 |
| 急ぎ品の判別 | 伝票の色分け・付箋 | 優先度をシステムが保持し一覧で表示 |
繁忙期に増えるのは受付の点数であって、人手の工程数ではありません。工程そのものを減らせば、点数が増えても人手にかかる時間は比例して増えなくなります。
どうやって解決したか
Step 1: 繁忙期の点数と、どこで手順が壊れるかを数える
まず、普段の受付点数と衣替えシーズンの受付点数を並べ、何倍まで跳ね上がるかを店舗ごとに把握します。同時に、管理番号・仕上がり予定日・優先順位のうち、どこが一番先に壊れているかを洗い出します。全部が同時に壊れたように見えても、実際には1つが引き金になっていることが多いためです。
Step 2: 打ち手の比較
| 選択肢 | メリット | デメリット | 判定 |
|---|---|---|---|
| 繁忙期だけパート・アルバイトを増やす | 仕組みを変えずに済む | 短期採用と教育のコストが毎シーズンかかり、教育が終わる頃に閑散期を迎える | — |
| 管理番号や仕上がり日の計算ルールを紙のまま簡略化する | 費用がかからない | 点数が増えるほど簡略化した分の見落としが増え、キャパシティ不足自体は残る | — |
| 採番・仕上がり日算出・優先度判定を仕組みに任せる | 点数が増えても人手の工程数が増えない | 導入時にスタッフの操作習熟が要る | ✅ 採用 |
playparkにクリーニング業での導入実績はまだありません。ただし「点数が増えても管理の手間を比例させない」仕組みは他業種で実装しています。新入社員の入社手続きで70項目超の進捗を一覧化した実例では、確認の対応工数を80%削減しました。シフト作成をアプリに一本化した実例では、スタッフの利用率が30%から85%以上に上がり、シフト作成にかかる時間を月8時間減らしています。どちらも繁忙期の負荷が特定の作業に集中するという構造は、衣替えシーズンの受付と同じです。
Step 3: 繁忙期の前に切り替えて、閑散期に運用を固める
三つ目を選んだ場合も、繁忙期の真っ只中に導入すると、かえって混乱が増えてしまいます。切り替えるなら、繁忙期の前の閑散期にスタッフが操作に慣れておくのが安全です。
まとめ
| 指標 | 変化 |
|---|---|
| 管理番号の重複・混乱 | 繁忙期に増える → 受付順の自動採番で増えない |
| 仕上がり予定日のズレ | 都度の目算 → 残点数からの自動算出 |
| 急ぎ品の見落とし | 付箋・色分け頼み → 優先度が一覧で常に見える |
繁忙期だけ人を増やすか、仕組みで吸収するかは、どちらが正解というより、来年も同じ時期に同じことが起きる前提で決めておきたい判断です。次の衣替えシーズンが来る前に、去年どこで手順が壊れたかを一度振り返ってみてはいかがでしょうか。



