「動画を作るのにいくらかかるか」を経営判断するとき、月額料金や1本あたりの見積もりだけを並べると、選択を誤ります。
実際のコストは 本数 × 期間 の総コストで考える必要があり、しかも見えにくいコストが3種類あります。この記事では SaaS・外注・コード化の3択について、本当の内訳を分解します。
判断の前段として「動画を内製化するか迷ったら考える3つの問い」が役立ちます。続ける気・人材・研究分離の3条件を満たした上で、コスト面でどう違うかを整理する話です。
3つの選択肢
動画制作の主要な選択肢は3つです。
| 選択肢 | 概要 | 代表例 |
|---|---|---|
| 外注 | 動画制作会社・フリーランスに発注 | 映像制作会社、動画クリエイター |
| 動画SaaS | テンプレ動画ツールを契約して自社制作 | Canva / CapCut / Veed系 |
| コード化 | プログラマブル動画ライブラリで内製化 | Remotion 等 |
それぞれの「総コスト」を分解していきます。
コスト構造の内訳
| 項目 | 外注 | 動画SaaS | コード化 |
|---|---|---|---|
| 初期コスト | 0円〜 | 0円〜 | 学習コスト(時間) |
| 月額固定費 | 0円 | 2,000〜20,000円 | 0円(OSS) |
| 1本あたり制作費 | 3万〜30万円 | テンプレ範囲内なら追加0円 | 制作時間 × 自社単価 |
| 量産時の単価 | スケールしない | スケールするが頭打ち | スケールする |
| AI支援サブスク(Claude Code Max 等) | 不要 | 不要 | 既存サブスクから按分・動画分は実質0円 |
Claude Code Max サブスクは前提として計上していますが、実質的な動画制作分の負担はゼロに近いです。Claude Code Max は5時間ごとに利用枠がリセットされるサブスクで、その枠の大半は本来の開発業務(Webアプリ・社内ツール・既存プロダクトの改修など)で消費されます。動画コードの生成は処理として軽く、5時間枠の数%程度しか食いません。
つまり、すでに Claude Code Max を契約している会社にとっては、動画制作のために追加コストはほぼ発生しません。逆に、動画のためだけに Max を契約するのは合理的ではないので、この選択肢は「既存で Claude Code Max を使っている前提」で評価してください。
各選択肢のコスト計算式を整理すると次のようになります。
- 外注:
1本単価 × 本数 - 動画SaaS:
月額 × 期間 + テンプレ外の追加発注 - コード化:
学習時間コスト(一度きり)(AI支援サブスクは既存利用前提で按分実質0円)
ここから、本数によってどれが安くなるかが見えてきます。
損益分岐点の試算
仮に1年で動画を「毎月X本」作るとして、各選択肢の年間総コストを計算してみます。前提:
- 外注 1本あたり 5万円
- 動画SaaS 月額 1万円
- コード化 学習コスト初回換算 20万円
- AI支援サブスク(Claude Code Max 等)は既存利用前提とし、動画分は按分実質0円で計上
| 月本数 | 年間本数 | 外注 | 動画SaaS | コード化 |
|---|---|---|---|---|
| 1本 | 12本 | 60万円 | 12万円 | 20万円 |
| 3本 | 36本 | 180万円 | 12万円 | 20万円 |
| 5本 | 60本 | 300万円 | 12万円 | 20万円 |
| 10本 | 120本 | 600万円 | 12万円 | 20万円 |
数字だけ見ると 動画SaaS と コード化が拮抗 していて、外注は本数が増えるほど不利になります。
動画SaaSは「同じテンプレで本数を増やせる」前提が成り立つ場合に最も安価です。テンプレ外のデザインが必要になると、SaaSは内部で追加料金または別途外注が必要になるケースが多くなります。
コード化の20万円は学習コスト一度きりの時間換算です。AI支援は既存サブスクから按分する前提なので動画分は計上していません。2年目以降は学習コストも消えるので、年間コストは実質0円(既存サブスクの按分内)になります。長く続けるほどコード化が有利です。
見えにくいコスト3つ
数字に出にくいけれど効くコストが3つあります。
制作リードタイム
外注の場合、依頼から納品まで最短でも1〜2週間かかります。SNS のトレンドに合わせた動画を出したいときに、この遅延は致命的です。
動画SaaSとコード化は社内で完結するので、思いついた日に出せます。緊急性のある動画や、トレンド連動の動画を狙うなら、外注は機会損失が発生します。
修正サイクル
「ちょっと文字色を変えたい」「BGM を差し替えたい」レベルの修正でも、外注だと往復1〜2日かかり、追加料金が発生する場合もあります。
動画SaaSは即時修正できます。コード化も即時です。修正前提で運用するなら、外注以外を選んだほうが運用が楽になります。
蓄積される資産か、消える支出か
外注で作った動画は、納品されたファイルだけが残ります。テンプレや制作ノウハウは制作会社側に蓄積されて、自社には何も残らない。
動画SaaSのテンプレもサービス側に依存します。乗り換えたらゼロからやり直しです。
コード化したテンプレは自社のリポジトリに残り、何度でも再利用できます。3年運用すれば、最初に投資した学習コストはすでに回収済みで、テンプレ資産だけが蓄積されている状態になります。
判断のフローチャート
ここまでの整理から、判断のフローはこうなります。
- 本数が年12本未満 → 外注(コストパフォーマンスより品質と手離れの良さで選ぶ)
- 本数が年36本以上、かつテンプレで足りる → 動画SaaS(最も安価)
- 本数が年36本以上、かつテンプレが他社と被るのが嫌、または資産化したい → コード化(学習投資が必要だが長期で有利)
「コード化」を選ぶ条件は経営判断としては厳しめです。本数・人材・継続意志の3条件が揃わない場合は、SaaS か外注で十分です。
まとめ
- 月額料金の単純比較では動画SaaSが圧倒的に安く見える
- ただし「テンプレ外」「ブランド統一」「資産化」を求めるとコスト構造が変わる
- 見えにくいコスト(リードタイム・修正サイクル・資産化)が経営インパクトの差を生む
- 年36本以上の量産前提なら、SaaS or コード化が外注より圧倒的に安い
- コード化は学習投資が必要だが、2年目以降は既存AIサブスクから按分実質0円で運用できる(Claude Code Max などを既存利用していることが前提)
動画を始める前に、本数の見込みと「何を残すか」を決めると、選択肢が自然に絞られます。
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- Shift Bud(美容室向けAIシフト管理)公式サイト・無料で試す — コード化で量産を運用しているプロダクト
- Ima.(家族の食卓向けスマホシールドアプリ)公式サイト(App Store 公開準備中) — コード化で単発を運用しているプロダクト
動画制作のコスト試算で迷っている方は、自社の本数見込みから一緒に整理することもできます。気軽にご相談ください。



