「先方の返事、待ってたつもりだったんだけど…」——気がつけばカレンダーが3週間ぶん進んでいた。1〜5名の会社では、営業も提案もマーケティングも同じ人間が同時に回すので、人間の記憶力にすべて頼るのは無理があります。
この記事は、毎朝Slackが先回りで話しかけてくれる営業ツールを、月5万円規模のSaaSを使わず2人で自作して運用している話です。実際に半年使ってみてどう変わったかにだけ集中してまとめました。営業1〜5名で属人化と抜け漏れに困っている方向けです。これから始める方は営業管理を始める3ステップから読むほうが順番が自然です。
「呼ばれて動く」から「先回りで動く」への変化
| 以前(呼ばれて動くbot) | 今(先回りで動くエージェント) | |
|---|---|---|
| 動き方 | 人間が書いたら反応する | 時刻・予定・会話を自分から見に行く |
| 人間の役割 | 入力する人 | 判断する人 |
| 見落とし | 入力を忘れたら記録されない | システム側が気づいて声をかける |
入力の手間をゼロに近づける仕組みはSlackに書くだけで営業日報がDBに残る仕組みで一度ゴールに届きました。ただ「入力されない情報には、システムは何もできない」。忙しい日ほど取りこぼしが増えるので、「人間が黙っていてもシステムが動く」レイヤーを足しました。
先回りで話しかけてくる、3つの場面
1. 朝9時のダイジェスト
平日の朝9時、Slackに自分から1通のメッセージが届きます。期限超過(期日を過ぎて止まっている案件)、長期停滞(14日以上音沙汰なし)、問題なし(該当ゼロ)の3パートだけ。判断対象は3〜5件くらいに絞られ、案件ゼロの日も「異常なし」と必ず通知が来ます。
2. 商談の30分前
Googleカレンダーに予定が入ると、システムが5分おきに見に行きます。外部ドメイン参加者や「打合せ」「商談」を含む予定を見つけると、開始30分前にSlackへ前回のメモ・直近の活動・次に話す論点が自動投稿されます。
3. Slackの巡回
決めた監視チャンネルで、「契約」「提案」「見積」「失注」などの単語と進行中の会社名が現れたら、DMでそっと知らせます。雑談を妨げず、見落としだけを救う仕掛けです。
半年運用してどう変わったか、なぜ自作を選んだか
| 指標 | Before | After |
|---|---|---|
| フォロー漏れ | 月2〜3件 | ほぼゼロ |
| 商談前の準備時間 | 1件10〜20分 | 1件3〜5分 |
数字より大きな変化は精神的な軽さです。「見落としていないか不安」をシステムに引き受けてもらえる一方、出てきた通知を判断する時間は確保しなければならないトレードオフはあります。
| 判断軸 | 自作を選んだ理由 |
|---|---|
| 規模 | 2人で月数万円のCRM/SFA費用は案件1件ぶんの粗利に近い |
| 運用fit | 1〜5名の「Slackで全部済ませたい」に既製品が合わない |
営業が10名以上いて運用ルールを揃える必要がある場合や、社内にコードを書ける人が1人もいない場合はSaaSが向いています。詳細は2人チームでAI営業エージェントを自作した全体像にまとめました。
費用と、いきなり自作に飛ばない順番
| 項目 | 月額の実額 |
|---|---|
| Slack・クラウドDB | 0円(無料枠) |
| AIコーディング環境 | 月約3万円(他用途と兼用のため按分ほぼ0円) |
| 開発時間 | 立ち上げに延べ60時間ほど |
ランニング費用はほぼゼロですが、初期の開発時間という見えないコストがあります。自作向きなのは、営業プロセスが言語化されていて、AIに任せる範囲と人が判断する範囲を分けられるチームです。
| 段階 | やること | 期間目安 |
|---|---|---|
| 第1段階:見える化 | スプレッドシート1枚に案件をまとめる | 1〜3ヶ月 |
| 第2段階:記録の自動化 | Slackに書くだけで日報が残る仕組み | 1〜2週間 |
| 第3段階:先回り通知 | 朝のダイジェスト・ブリーフ・巡回を追加 | 第2段階が安定後 |
playparkもこの順番で、約8ヶ月かけて今の状態まで来ました。第1段階の進め方は1〜5名の会社が今日から動かせる3ステップにまとめています。
つまずきと、まとめ
| つまずき | 対処 |
|---|---|
| 通知が多すぎて読み飛ばす | 閾値を厳しくする(14日停滞を21日停滞に) |
| ブリーフの情報が未準備 | 「未作成」通知を見る運用に変える |
つまずきの多くは運用ルールの厳しさのチューニングです。「呼ばれて動くbot」はSlackに一行書くだけで作れます。そこから先の「先回りで話しかけてくるエージェント」は、朝のダイジェスト・商談30分前ブリーフ・チャット巡回の3点セットで届く範囲にあります。月5万円のSaaSなしでも、1〜5名の会社が自分たちの働き方に合った営業の自動化を持てる時代になっています。
「うちでも同じようなことをやりたい」と感じた方は、今の営業の動き方をひとつ言語化するところから始めてみませんか。
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