リフトの上でブレーキパッドを外している最中に、事務所から声が飛んでくる。「先週見積もり出したお客さん、あれどうなった?」。手は油まみれ、思い出せるのは車種と色だけ(お客様の名前より、車のほうを先に覚えてしまう職業病です)。
この記事では、整備部門で「今どの状態か」が見えなくなる問題を、他業種の実案件をもとに整理します。
予約は取れている。埋もれるのは「返答待ち」のほう
整備部門の困りごとを「予約の取りこぼし」だと捉えると、対策は予約フォームの改善に向かいます。ただ現場で実際に止まっているのは、予約より後ろの工程です。
- 見積もりを出したあと、顧客からの返答が来ているか誰も把握していない
- 発注した部品の入荷待ちが、担当整備士の記憶にしか残っていない
- 代車が今どの車に貸し出されているか、聞かないとわからない
どれも「記録がない」のではありません。記録はあるのに、止まっていることに誰も気づけない状態です。
1台の入庫は5つの状態を通過する
車検・点検の1件は、受付から納車まで一直線には進みません。
| 状態 | 次に進む条件 | 止まる主な原因 |
|---|---|---|
| 受付済み | 見積もりを作る | 車両の確認待ち |
| 見積もり提示 | 顧客が可否を返答する | 顧客の都合。工場側では動かせない |
| 作業承認 | 部品を発注する | 発注担当の作業待ち |
| 部品待ち | 部品が入荷する | メーカー・商社の納期。工場側では動かせない |
| 入庫・作業中 | 納車する | 代車の返却待ち |
止まる原因のうち、顧客の返答と部品の納期は工場側のルールでは短縮できません。社内の記入ルールを揃えれば消える種類の問題ではないので、ここは仕組みで見張るしかない部分です(部品が来ないのを工場のせいにされても、できるのは催促だけです)。
記録の一元化ではなく、ステータスの可視化
playpark に自動車整備工場での導入実績はまだありません。近い構造を別業種で自動化した実案件があるので、そこから整備部門での見立てを示します。
主軸にするのは入社手続きのステータス管理です。1人の入社に70項目以上の確認があり、「誰がどこまでやったか」が担当者の記憶に依存していました。カオナビAPI連携で各項目の完了・未完了を自動判定した結果、確認作業は1件あたり30分から5分以下へ、80%以上削減しています。データ不整合によるトラブルは月数件からほぼゼロ、監査対応の準備時間は数日から数時間になりました。
70項目の入社手続きと5状態の入庫管理は、項目数こそ違いますが構造は同じです。追いかけるべきは順調に進んでいる案件ではなく、止まったまま動いていない案件のほうです。
人手が減るのは確認をやめるからではなく、探す対象が「全件」から「動いていない分だけ」に変わるからです。
システム間のデータを突き合わせる部分にも実測があります。入退室ログと人事情報の連携では、日次集計が2時間から5分へ96%削減、転記ミスは月3件から0件になりました。二重入力そのものをなくした勤怠とプロジェクト管理のAPI連携では、入力作業が月10時間から0.5時間へ95%削減しています。
整備部門に置き換えるときの設計ポイント
- 状態は5つ以内に決める — 細かく刻むほど入力の手間が増え、現場が続けてくれません。返答待ち・部品待ち・作業中の3つから始めても十分です。
- 止まっている案件だけを出す — 全件一覧ではなく、既定の日数を超えて動いていない案件だけを抽出します。見る件数が減らなければ、確認の負担は変わりません。
- 入力は既存の動線に寄せる — 電話でも来店でも、受けた整備士がその場で状態を更新できる形にします(現場が入力をやめた瞬間、台帳は一番信用できない資料に変わります)。
導入は4〜6週間が目安です。状態の定義に1〜2週間、テスト運用に2週間程度を見ておくと、繁忙期でも取りこぼしが起きないか確かめられます。
あなたの工場でも始められます
「整備士が数名しかいないから」は、むしろ導入の理由になります。人数が少ないほど、1人が抱える未完了案件の数は増えるからです。予約の受け方や窓口はそのままに、状態の追跡だけを足す形なら、現場の慣れを壊さずに始められます。
playpark の業務効率化サービス「SHITATEYA」では、既存の管理システムに状態追跡だけを足す設計から相談できます。取り組みの全体像は業務自動化ソリューションにまとめています。今どの案件が止まっているか即答できないなら、お問い合わせからご相談ください。
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