「水漏れの連絡は電話で受けたはずなのに、いつ・誰が・どの物件で受けたのか記録が残っていない」
賃貸管理会社で入居者対応を担当している方なら、こうした場面に一度は遭遇しているのではないでしょうか。入居者からの修繕依頼やクレームは、電話・LINE・メール・管理会社アプリと複数の窓口から飛び込んできます。受けた担当者がその場でメモを取り、業者に連絡し、対応状況をExcelやホワイトボードに書き込む。窓口が増えるほど、「誰が何をいつまでに対応するか」の全体像が担当者の頭の中にしか無い状態になっていきます。
この記事では、入居者対応の窓口分散と、オーナーへの報告業務の負担を減らす自動化の考え方を、他業種での実践知見をもとに紹介します(正直、記憶とホワイトボードだけで対応を回すのは、担当者の負担が大きすぎます)。
こんなお悩みありませんか?
- 修繕依頼やクレームの連絡が電話・LINE・メールに分散していて、対応漏れや二重対応が発生する
- 対応状況(受付・業者手配・完了)の進捗が担当者の記憶やホワイトボード頼りで、休みの日に問い合わせが来ると誰も答えられない
- オーナー向けの月次報告書を、対応履歴をかき集めて手作業で作成しており、毎月同じ集計に時間を取られている
もし一つでも当てはまるなら、この記事がお役に立てるかもしれません。
連絡がバラバラな場所に増えていく理由
賃貸管理業務で連絡先が分散しやすいのは、入居者ごとに使いやすい連絡手段が異なり、管理会社側もそれを断りにくいという構造があるからです。
- 電話: 緊急性の高い水漏れ・設備故障など、その場で状況を確認したい連絡
- LINE: 写真を添えた方が伝わりやすい破損箇所の連絡や、ちょっとした問い合わせ
- メール: 契約更新や退去に関する、記録に残したい連絡
- 管理会社アプリ・ポータル: 一部の入居者だけが使う、比較的新しい窓口
入居者からすれば「一番連絡しやすい手段」を選んでいるだけですが、管理会社側は窓口ごとに対応者も記録方法もバラバラなまま受け止めることになります。結果として、連絡そのものではなく「連絡を一つの管理台帳にまとめる」作業だけが、いつも手作業として残ってしまうのが実情に近いのではないでしょうか。
自動化した場合の目安
playpark が他業種の記録・データ連携の自動化で積み上げてきた実績を踏まえて、賃貸管理会社の入居者対応に当てはめた場合の目安をまとめると、次のようになります。
| Before(手作業) | After(自動化後の目安) | |
|---|---|---|
| 対応状況の把握 | 担当者の記憶・ホワイトボード頼り | 台帳で誰でも即確認可能 |
| オーナー向け月次報告の作成時間 | 半日程度 | 1時間以内(参考値) |
| 対応漏れ・二重対応 | 月に数件発生 | 台帳の一元管理でほぼゼロに |
半日かかっていた報告書作成が1時間以内に収まれば(あくまで参考値ですが)、その時間を新規物件の開拓や既存オーナーとの関係構築に回せます。対応状況が可視化されれば、担当者が急に休んでも、正直、誰かが代わりに答えられる安心感は大きいものです。
実際に計測した実績として、入退室ログと人事システム(カオナビ)の連携では、日次集計の作業時間を2時間から5分に、転記ミスを月3件から0件に減らした例があります(対象は一般企業の勤怠管理、入退室ログ×カオナビ連携の事例はこちら)。複数の窓口から入る情報を一つの台帳に集約する構造は、業種が変わっても同じパターンで自動化できます。
どうやって解決したか
Step 1: 課題の整理
入居者に「連絡は必ずこのアプリから」と一本化を求めるのは現実的ではありません。高齢の入居者は電話を好むこともあり、緊急時にアプリの使い方を調べさせるのは本末転倒です。だからこそ変えるべきは「連絡の受け方」ではなく、「受けた連絡をその後どう記録・追跡するか」だと切り分けて考えることが出発点になります。
Step 2: アプローチの選定
| 選択肢 | メリット | デメリット | 判定 |
|---|---|---|---|
| 連絡窓口をアプリに一本化する | 記録が自動で一元化される | 入居者への周知・移行コストが大きい | — |
| 物件管理システムを刷新する | 最新機能が使える | 移行作業と職員の再教育負担が重い | — |
| 窓口はそのまま、記録・追跡だけを一元化する | 入居者の連絡手段を変えずに済む | 台帳への集約設計が必要 | ✅ 採用 |
入居者との接点は管理会社の信頼関係そのものなので、いきなり変えるのはリスクが大きい判断です。まずは「記録と追跡」という後工程だけを一元化するほうが、現実的で始めやすいアプローチになります。
Step 3: 実装と検証
導入は約4〜6週間が目安です(他業種の導入実績を参考にした期間です)。
- ヒアリング・連絡フローの整理(1週間程度、参考目安) — どの窓口からの連絡が、誰によってどう処理されているかを洗い出す
- 台帳フォーマットの設計(1〜2週間) — 電話・LINE・メールそれぞれの記録をどう台帳に反映するかを精査する
- テスト運用(2週間程度) — 実際の問い合わせで記録漏れがないか、業者への連携がスムーズかを確認する
- 本番運用 — 対応担当者の負荷を見ながら、対象物件を段階的に拡大していく
一気に全物件・全窓口を切り替えようとしないのがコツです(現場が混乱しては、入居者対応の質という本来の目的から外れてしまうので。休日返上で入居者からの苦情対応に追われるのは、結局担当者自身です)。
技術者向け: 連携の設計で見るポイント
電話での連絡は音声のままでは検索・集計ができないため、受電した担当者がその場でスマホやタブレットから簡易入力する運用と組み合わせるのが現実的です。LINEでの連絡はWebhook経由でメッセージと画像を受け取り、物件・入居者情報と自動で突合するバッチ処理を挟む構成になることがよくあります。既存の物件管理システムに外部連携用のAPIが公開されていない場合は、CSVエクスポート・インポートの定期実行で代替するケースも珍しくありません。
あなたの管理会社でも始められます
修繕依頼やクレームの連絡が電話・LINE・メールにまたがる状況は、賃貸管理会社だけの悩みではありません。ただ、入居者との接点を変えられないという制約があるからこそ、「記録と追跡だけを一元化する」というアプローチが賃貸管理業と相性がいいと言えます。
「うちは管理戸数が少ないから」「入居者の年齢層的にアプリは難しいから」とためらう必要はありません。既存の連絡手段を活かしたまま、記録と追跡の部分だけを一元化するなら、大きなリスクなく始められます。
playpark の業務効率化サービス「SHITATEYA」では、既存の連絡手段を変えずにシステム間のデータ連携を設計するところから相談できます。賃貸管理業に限らない業務自動化の取り組みは業務自動化ソリューションのページでも紹介しています。まずは今の対応状況の管理がどこで滞っているか、お問い合わせからお気軽にご相談ください。



