-
この記事の対象: 歯科医院から週に数件の急ぎの依頼があり、「今は受けられるのか、いつなら間に合うのか」を都度考えて返している、歯科技工所の院長の方
-
先にやるべきこと: 技工物の種類ごとの標準の工程日数と、今抱えている案件の納期を、一つの表にそろえる
-
見込める変化: 急ぎの依頼が届いた時点で、手持ちの工程から受けられる最短の納期を医院へ返せます。間に合わない場合も、断るだけでなく代案の納期を添えて返します。返事を待ちきれず他の技工所へ流れていた医院を、取りこぼさずに済みます。残業や休日出勤で受けるかどうかは、医院へ返す前に院長が決めます。急ぎの依頼がほとんどない技工所や、工程を一人で抱えていて表にするまでもない技工所には向きません
「明後日の患者さんの来院に間に合わせたいのですが、この冠を急ぎでお願いできますか」
作業台に向かっているときにこうした連絡が入り、手を止めて工程を見直した経験は、どの技工所にもあるのではないでしょうか。
急ぎの依頼は、作業中の技工所ほど返事が遅れる
歯科技工士の確保が課題であることは、国の検討の場でも取り上げられています。人が足りないなかで、受けきれない依頼を断る場面が増えています。
急ぎの依頼への対応は、いまは次のように進むことが多いと思います。
- 依頼を受けた院長や技工士が、手持ちの案件と納期を思い出して工程を見直す
- 受けられるか、何日なら間に合うかを決める
- 作業が一段落してから、医院へ電話で折り返す
この流れでは、返事は作業の合間になります。医院は患者さんの来院日が決まっているため、返事を待たずに他の技工所へ依頼します。急ぎの依頼は週に数件あり、返事が遅れて他へ流れる医院は月に数件、というのが今回想定している規模です。断った依頼も、受けられなかった理由も記録に残らず、取りこぼした数が見えません。
納期の算出は仕組みが、例外の判断は院長が受け持つ
医院へ返す内容は、受けられる納期か、代案の納期のどちらかです。残業や休日出勤で無理をして受けるといった、ルールの外の依頼だけは、医院へ返す前に院長が決めます。
工程の表を作り、週末に試す
Step 1: 標準の工程日数と手持ちの案件を表にする
冠、ブリッジ、義歯などの種類ごとに、標準の工程日数を登録します。これは最初に一度行う作業です。あわせて、今抱えている案件の納期と担当を表にします。受注した時点で一行足せば、表は常に最新になります。
Step 2: 打ち手を比較する
| 選択肢 | メリット | デメリット | 判定 |
|---|---|---|---|
| 院長や技工士が都度工程を見直し、電話で折り返す(現状) | 追加の準備が要らない | 作業中は返事が後回しになり、他の技工所へ流れる | — |
| 急ぎ専用の枠を固定で空けておく | 返事は早くなる | 依頼が来ない日は枠が空いたままになり、売上を逃す | — |
| 工程の表から受けられる最短の納期を出し、ルール外だけ院長が決める | 依頼の時点で返せ、断る場合も代案を添えられる | 最初に標準の工程日数を登録する | ✅ 採用 |
playparkに歯科技工所での導入実績はまだありません。この記事の場面は仮想のシナリオです。手元にあるデータを素早く集計して見せる取り組みでは、工数レポートの処理で処理時間が計測値で85%短縮されました。二つのシステムに同じ情報を入力する手間をなくした二重入力の削減では、月間の入力作業時間が実測で95%減りました。受注の入力と工程の表を別々に管理しない考え方は、ここから来ています。
Step 3: 経営者自身が作れる範囲から始める
表計算ソフトに工程日数と手持ち案件の表があれば、週末に試作できます。AIコーディングツールに「品目と希望納期を入れると、手持ちの工程から最短の納期を出す」と頼めば、算出の原型ができます。返信の文面も同じ表から作れます。
最初の1ヶ月は、院長も従来どおりに判断し、仕組みが出した納期と見比べます。見えてくるのは、断った依頼の数と理由、代案の納期を医院が受け入れた割合、急ぎの依頼が集中する曜日です。
返事の早さが、取りこぼしの数に表れる
| 指標 | 変化 |
|---|---|
| 受けられる納期の所在 | 技工士の頭の中 → 依頼の時点で表から算出 |
| 断る場合の返答 | 断るだけ → 代案の納期つき |
| 返事が遅れて他へ流れた件数 | 記録なし → 件数を数えられる |
院長が決めるのは、急ぎ枠のルールと、ルールの外の例外です。依頼の時点で納期が返れば、他の技工所へ流れていた月に数件の依頼を、取り戻せる可能性があります。まず手をつけられるのは、標準の工程日数を表にすることです。



