「で、結局AntigravityとCursor、どっちを使えばいいの?」
AIコーディングツールを選ぶとき、この問いに一度はぶつかりませんか。公式サイトを読んでも「すごい機能」の紹介ばかりで、自分のチームにどっちが合うのかがわからない。比較記事を読んでも「どちらも一長一短です」で終わる(それ知ってるんだけど...)。
この記事では、AntigravityとCursorを機能・価格・ユースケースで正面から比較します。さらに、個人・チーム・エンタープライズの規模別に「こう設定すると幸せになれる」テンプレートも用意しました。
Antigravityの基本的なセットアップや概要については Antigravity完全ガイド で詳しく解説しています。
この記事で学べること
- AntigravityとCursorの機能比較(得意・不得意が明確にわかる)
- 実際の開発シナリオ別の使い分け判断フロー
- 個人 / チーム / エンタープライズの規模別おすすめ設定
- 併用パターンとそのワークフロー
前提条件
- AntigravityまたはCursorの基本操作を知っている(触ったことがある程度でOK)
- どちらか、または両方の導入を検討している
基本スペック比較
まず、両者の立ち位置を整理します。
| 項目 | Antigravity | Cursor |
|---|---|---|
| 提供元 | Anysphere | |
| ベース | Antigravity 2.0はIDE非依存のスタンドアロンアプリ / Antigravity IDEはVSCode fork(Open VSX) | VSCode fork |
| 主要モデル | Gemini 3.1 Pro / 3.8 Flash(Ultraはサードパーティモデルも利用可。対応モデルは公式ページで確認) | Composer 2.5・Grok 4.7(Cursorモデルプール)+Claude Opus 5.5 / Sonnet 5.5・Gemini 3.8 Flash・GPT-5.6 等(その他のモデルプール) |
| インターフェース | Antigravity 2.0 + Antigravity IDE + IDE拡張(VS Code / JetBrains / Zed / Xcode 等) | VSCodeライクなエディタ + Agents Window |
| マルチエージェント | Antigravity 2.0(標準搭載、Git worktreeで隔離) | Parallel Agents(1プロンプトあたり最大8並列) |
| コード補完 | あり(無制限のTab補完) | タブ補完(業界最高精度) |
| ブラウザ操作 | あり(Browser Subagentが専用プロファイルのChromeを操作) | あり(追加ツール不要のBrowserツール) |
| VSCode拡張互換 | Antigravity IDEはOpen VSX経由で部分互換(Microsoft独自ライセンスの拡張は非対応)。VS Code側にAntigravity拡張を入れる選択肢もあり | ほぼ完全互換(VS Marketplace直結) |
| Git統合 | worktree隔離とサイドバーのGitバージョン管理に対応(2026年8月) | 高度(diff、コミット生成) |
ここで見えてくるのは、設計思想の違いです。
Antigravityは「エージェントに仕事を任せる」ことに最適化されています。Antigravity 2.0で複数エージェントを同時に走らせ、Artifactsで成果物を確認し、人間はオーケストレーターになる。2026年5月のGoogle I/Oでこの主戦場が「IDEの中の一画面」からIDE非依存のスタンドアロンアプリに切り出されたのが象徴的です。
Cursorは「人間のコーディングをAIで加速する」ことに最適化されています。タブ補完の速度と精度で書いている最中の生産性を底上げしつつ、Parallel Agentsで最大8並列の実行もこなす。
どちらが「正しい」ではなく、開発スタイルとの相性です。
機能別の深堀り比較
コード補完:Cursorが圧倒的
正直に言います。コード補完の体験はCursorが頭ひとつ抜けています。
Cursorのタブ補完は、ファイル全体のコンテキストを読んで次に書くべきコードを予測します。Tabキーを押すだけでスルスルとコードが生まれていく感覚は、一度味わうと手放せません(指が怠けることを覚えてしまう)。
Antigravityにもコード補完はありますが、あくまで「ついでに付いている」レベルです。Antigravityの本気はエージェント側にあるので、補完で勝負する設計ではありません。
判定: 日常的なコーディング速度 → Cursor
エージェント機能:アプローチの違いに注目
「認証機能のAPIを作って、同時にフロントのUIも作って、テストも書いて」
こういう並列タスクを投げられるのがAntigravity 2.0です。複数エージェントがそれぞれ独立して作業し、進捗をリアルタイムで確認できます。Artifactsシステムで成果物(実装計画、コード差分、アーキテクチャ図、ブラウザ操作の録画)を確認し、フィードバックを直接書き込めるのが独自の強み。エージェント起動時にNew Worktree Modeを選べば、各エージェントがGit worktreeで隔離されます。Antigravityのセットアップ方法やArtifactsの使い方についてはAntigravity 完全ガイドで詳しく解説しています。
Cursorは2.0(2025年10月29日)でParallel Agentsを導入し、1つのプロンプトに対して最大8エージェントの並列実行に対応しました。git worktreeまたはリモートマシンで各エージェントが隔離環境で作業します。さらに3.0(2026年4月2日)ではAgents Windowが入り、ローカル・worktree・クラウド・リモートSSHをまたいで多数のエージェントを走らせられるようになりました。/best-of-n で同じタスクを複数モデルに並列で解かせて結果を比較する、といった使い方もできます。加えてAutomations機能で、スケジュール実行やGitHub / GitLab / Slack / Linear / Sentry / Webhookなどのイベントをトリガーにクラウドエージェントを起動することも可能です。
両者とも並列は可能ですが、AntigravityはArtifactsベースの「対話的オーケストレーション」、Cursorはworktreeベースの「自動選定」 と、UXのアプローチが異なります。
判定: エージェントの対話的管理 → Antigravity / 自動並列+最適選定 → Cursor
エディタとしての完成度:拡張エコシステムの差
CursorはVSCodeのフォークで、VS Marketplaceに直結。VSCodeの拡張機能がほぼそのまま使えます。お気に入りの拡張、カスタムキーバインド、スニペット...全部持ち込めます(引っ越しの荷解きがいらない)。
Antigravity IDEもVSCodeフォークですが、Open VSXレジストリを採用しています。多くのOSS拡張は使えるものの、C# Dev KitやPylanceなどMicrosoft独自ライセンスの拡張は配布されていません。.vsixファイルの手動インストールやMarketplace設定の変更で回避は可能ですが、ひと手間かかります。
ただしこの差は2026年8月20日に発表されたIDE拡張で相対化されました。VS Code・Visual Studio 2026(プレビュー)・JetBrains系・Zed・XcodeにAntigravityの拡張を入れれば、拡張資産はVS Codeのまま、エージェントだけAntigravityを使うという構成が取れます。
判定: 拡張エコシステムの充実度 → Cursor(ただしAntigravity拡張をVS Codeに入れる逃げ道あり)
プレビュー・デバッグ:どちらもブラウザを触れるようになった
かつてここはAntigravityの独壇場でした。専用のBrowser SubagentがローカルのChromeを開いて読み取り・操作し、スクリーンショットや操作動画をArtifactとして残す。しかも実行は個人データと切り離された専用Chromeプロファイル内で、URLのAllowlist / Denylistで到達範囲を制御できます。コードを書く → ブラウザで確認 → 修正を指示、のループが閉じます。
ただしCursorも追いつきました。現在のCursorには外部ツールのインストール・設定が不要なBrowserツールがあり、URLの訪問、ボタンやフォームの操作、スクリーンショット取得に加えて、ブラウザのコンソールログやHTTPリクエストの監視までできます。3.0のDesign Modeではブラウザ上でUI要素を直接指してフィードバックできます。
差は「できる/できない」ではなく設計思想の側に移りました。Antigravityは検証の証跡(Artifact)を残すことを重視し、Cursorはコンソール・ネットワークまで読んでデバッグを閉じることを重視しています。
判定: 検証の証跡を残す → Antigravity / ブラウザ側のログまで見てデバッグ → Cursor
料金比較
お財布事情も大事です。
| プラン | 月額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Antigravity Individual | $0 | Gemini 3.1 Pro / 3.8 Flashなどが使える、無制限のTab補完・Command、週次のベーシックなレート制限 |
| Google AI Pro | $19.99/月 | 高めのクォータ(5時間ごとに更新、週次上限あり)。AIクレジットの購入で超過分を補える |
| Google AI Ultra(中位) | $99.99/月 | Pro比5倍のレート制限(2026年5月のGoogle I/Oで新設) |
| Google AI Ultra(最上位) | $199.99/月 | Pro比20倍のレート制限。同じくI/O 2026で $250 から値下げ |
| Cursor Hobby | $0 | 無料プラン(利用枠の内容は公式ページで確認) |
| Cursor Pro | $20/月 | 無制限Tab補完、Cursorモデル/サードパーティモデルの2つの利用プール |
| Cursor Pro+ | $60/月 | Proより多い利用枠(含有額は公式ページで確認) |
| Cursor Ultra | $200/月 | 両プールの含有利用枠が最大のプラン |
| Cursor Teams(Standard) | $40/user/月 | チーム一括請求・管理、SAML/OIDC SSO、チームマーケットプレイス |
| Cursor Teams(Premium) | $120/user/月 | StandardのAgent上限5倍 |
※ Cursorは利用プール(Cursorモデル / その他のモデル)ベースの課金体系です。Autoモードもルーティング先モデルの定価で課金されます(Cost / Balance / Intelligence の3モードすべて)。「Autoなら無料で使い放題」ではない点に注意してください。なお法人プランでは、サードパーティモデルにモデルAPI料金へ100万トークンあたり $0.25 の Cursorトークンレートが上乗せされます。
料金は2026年10月6日時点の情報です。契約前に公式ページ(Cursor、Antigravity)で最新の内容を確認してください。
AntigravityはサブスクリプションなしのIndividualプランで基本機能を使えますが、利用枠は週次のベーシックなレート制限です。Google AI Pro / Ultraでは5時間ごとに更新されるクォータが付き、週次上限に達するまで使えます。超過分はAIクレジットの購入で補えます。ヘビーに使うなら有料プランが選択肢になります。法人利用はGoogle Cloud経由のBusinessプラン(1 seatあたり月$30〜、または従量課金)です。
さらに日本のチームには見落としがちな制約があります。追加のAIクレジットは日本では購入できません(Google One ヘルプに明記)。上限に達したらクォータのリフレッシュを待つか上位プランに移るかの二択で、「足りない分だけ買い足す」という調整弁が使えないのです。
Cursorは$20/月のProプランで日常使いには十分です。ヘビーユーザーにはPro+やUltraの上位プランも用意されています。
コスパ判定: 短期的にはAntigravity、予測可能性と選択肢の幅ではCursor
開発シナリオ別の使い分けガイド
「で、実際どう使い分けるの?」に答えます。
シナリオ1: 個人のサイドプロジェクト
週末にNext.jsでWebアプリを作っている。一人で全部やる。
おすすめ: Cursor Pro
理由: 個人開発では並列エージェントより、目の前のコードをサクサク書ける方が生産性に直結します。タブ補完の恩恵を最も受けるのが「一人で全部書く」パターンです。
シナリオ2: スタートアップの新機能開発
3〜5人のチームで、2週間スプリントで新機能を出し続ける。
おすすめ: Antigravity + Claude Code の併用
理由: スプリント内で複数の機能を並列に進めるならAntigravity 2.0やArtifactsベースの進捗管理が活きます。設計判断やコードレビューの深い思考にはClaude Codeが強い。CursorもParallel Agentsで並列対応していますが、チーム全体で進捗を「見える化」するにはAntigravityのUIが有利です。
シナリオ3: フロントエンドのUI改善
デザイナーからFigmaのデザインを受け取って、UIコンポーネントを実装する。
おすすめ: Antigravity
理由: ブラウザエージェントに画面を開かせて確認させながら、エージェントにUI実装を任せるフローが強力です。「ここのmarginを8pxにして」「色をこのトークンに変えて」といった微調整も、スクリーンショットで指示できます。
シナリオ4: レガシーコードのリファクタリング
10年もののPHPコードベースをモダナイズする。ファイル数が膨大。
おすすめ: Cursor + Codex
理由: まずCursorのエージェントモードで1ファイルずつ丁寧にリファクタし、パターンが確立したらCodexのCloud実行で一括変更。Antigravityの並列エージェントも使えますが、レガシーコードの文脈理解にはCursorの方がVSCode拡張(ESLint、PHPStanなど)との連携で有利です。
シナリオ5: APIバックエンドの開発
RESTful APIをGoやRustで書く。フロントエンドは別チーム。
おすすめ: Claude Code(またはCursor)
理由: バックエンド開発ではブラウザ操作の恩恵が薄く、Antigravityの強みが活きにくい。ターミナルとの親和性が高いClaude Code、またはVSCodeライクなCursorが自然なフィットです。
規模別おすすめ設定テンプレート
個人開発者向け
【ツール構成】
- メイン: Cursor Pro ($20/月)
- サブ: Antigravity Individual ($0、プロトタイピング用)
【Cursor設定のポイント】
- .cursor/rules(.mdc)または AGENTS.md に技術スタック・コーディング規約を記述
- Agent ModeのAutomatic実行を有効化
- タブ補完の学習を最大化するため、メインプロジェクトで常用
【使い分け】
- 日常コーディング → Cursor
- 新しいアイデアの高速プロトタイプ → Antigravity
チーム(5〜20人)向け
【ツール構成】
- 標準: Cursor Teams Standard ($40/user/月)
- パワーユーザー: Cursor Teams Premium ($120/user/月) or Google AI Pro ($19.99/月、希望者)
- テックリード: Claude Code Max ($100〜200/月)
【チーム運用のポイント】
- .cursor/rules をリポジトリにコミットしてチーム共有
- コーディング規約・アーキテクチャルールを .cursor/rules(または AGENTS.md)に集約
- PR作成はCursor、レビューの深い分析はClaude Code
- 新機能の並列開発スプリントではAntigravity活用
【共通ルールの例】
- TypeScriptのstrictモードを必須とする
- テストカバレッジ80%以上を維持する
- コンポーネントは単一責任の原則に従う
エンタープライズ(20人以上)向け
【ツール構成】
- 全社標準: Cursor Teams ($40 or $120/user/月) / Enterprise (要見積)
- プラットフォームチーム: Antigravity + Claude Code
- Antigravityの法人利用: Google Cloud経由のBusinessプラン(1 seatあたり月$30〜、または従量課金)
【ガバナンスのポイント】
- .cursor/rules / AGENTS.md をモノレポのルートに配置
- チーム横断のコーディングルールを組織レベルで管理
- AIが生成したコードのレビュープロセスを標準化
- コスト管理: Antigravityを従量課金で使う場合はGoogle Cloud側で予算アラートを設定
【注意点】
- Antigravityの法人サインインは Gemini Enterprise アカウント / GCPプロジェクト /
Workforce Identity Federation(Okta等)経由。個人向けサインインは
個人Googleアカウント前提なので、導線を分けて周知する
- Antigravity IDE はエンタープライズ構成では非対応。法人利用は
Antigravity 2.0 または Antigravity CLI を使う
- Antigravity単体としてのSOC 2 Type II / ISO 27001 の取得状況は公開されていない。
監査要件が厳しい場合は導入前にGoogleの営業窓口で個別確認する
- Cursor Teams / Enterprise のSAML/OIDC SSO・監査ログ機能を活用
- 機密コードへのAIアクセスポリシーを策定
併用のベストプラクティス
実は「どちらか一方」よりも併用が最強パターンです。
1日のワークフロー例
| 時間帯 | ツール | 作業内容 |
|---|---|---|
| 午前 | Cursor | 昨日のPRレビュー指摘対応、バグ修正 |
| 午前〜昼 | Antigravity | 新機能の並列実装(API + UI + テスト) |
| 午後 | Cursor | コードの仕上げ、エッジケース対応 |
| 夕方 | Claude Code | 設計ドキュメント生成、翌日のタスク整理 |
ポイントはタスクの粒度で切り替えること。
- 細かい修正・通常のコーディング → Cursor(タブ補完が速い)
- 大きなタスクの並列実行 → Antigravity(Antigravity 2.0が便利)
- 深い設計判断・複雑なデバッグ → Claude Code(コンテキスト理解が深い)
切り替えコストが気になるかもしれませんが、1日に2〜3回の切り替えなら許容範囲です。毎時間切り替えるのは非効率なので、午前と午後で分けるくらいがちょうどいい。
注意点・Tips
- Antigravityのクォータ管理: 3エージェント同時起動すれば、当然その分だけクォータも速く減ります。並列実行は「本当に並列が必要なタスク」に絞りましょう。しかも日本では追加クレジットを購入できないので、上限に達したら待つしかありません
- Cursorのルール管理: プロジェクトのルールを
.cursor/rules(.mdc)かAGENTS.mdに書いておくと、エージェントの出力品質が格段に上がります。チームで共有するとコーディングスタイルが統一される副次効果も。なお旧来の.cursorrulesは現在の公式ドキュメントには登場しないので、新規プロジェクトでは.cursor/rules/AGENTS.mdを採用しましょう - VSCode拡張の資産: 既にVSCode拡張を大量に使っているチームは、Cursorへの移行コストが低いです(VS Marketplace直結)。Antigravity IDEもVSCodeフォークですがOpen VSXベースのため、Microsoft独自ライセンスの拡張(C# Dev Kit、Pylanceなど)は使えない点に注意。どうしても拡張資産を手放せないなら、VS Codeに公式のAntigravity拡張を入れる手もあります
- Antigravityのレートリミット変動: Antigravityの利用枠は5時間ごとの更新と週次上限で管理され、プランごとの上限は変わることがあります。「無料だから」で全社導入するとコスト計算が狂うリスクがあるため、導入前に公式ページで現行の枠を確認しましょう
- Cursorの「Autoなら無料」は誤解: Autoモードもルーティング先モデルの定価で利用プールを消費します。Auto中心の運用でも、Pro ($20) の枠を超えればオンデマンド課金かプラン変更が必要です
まとめ
AntigravityとCursorは、競合というより補完関係にあります。
Cursorは「目の前のコードを速く書く」体験が抜群。Antigravityは「複数のタスクを同時にさばく」オーケストレーションが強み。どちらも使い方次第で開発生産性を大幅に引き上げてくれます。
迷ったら、まずはCursor Pro + Antigravity Individual($0)の組み合わせから始めてみてください。月$20で両方の良さを体感できます。自分の開発スタイルに合う方が見えてきたら、そこに投資を集中する。それが一番リスクの低い始め方です。
AIコーディングツール比較・選定ガイド — この記事を含む11本の記事で、AIコーディングツールの比較・選定・共存運用を体系的に解説しています。



