「Antigravityって結局なに?Googleの新しいIDEらしいけど、Claude CodeやCodexとどう違うの?」
2026年、AIコーディングツール界隈で最も注目を集めているのがGoogle Antigravityです。Googleが本格的にAIコーディング市場に参入したことで、開発者の関心が急速に高まっています。
でも「名前は聞いたことあるけど、使ったことはない」という方がほとんどではないでしょうか。
この記事では、Antigravityのセットアップから実践活用、そしてClaude Code・Codexとの具体的な使い分けまでを解説します。
この記事で学べること
- Antigravityの基本概念とアーキテクチャ
- セットアップ手順(10分で完了)
- Antigravity 2.0・Antigravity IDE・IDE拡張の使い分け
- Claude Code・Codexとの比較と最適な使い分けパターン
どんな人に向くか/向かないか
Antigravityを試す前に、自分のワークフローに合うかを確認しましょう。
向いている人
- 複数の機能(フロント・バック・テスト)を同時並行で開発したい
- GUI操作でエージェントを視覚的に管理したい
- Webアプリ開発でエージェントにブラウザを操作させてプレビュー・検証させたい
- Googleエコシステム(GCP、Firebase、Google Workspace)との連携が多い
- Claude CodeやCodexと「ツールを使い分けたい」と考えている
向いていない人
- ターミナル中心のワークフローに慣れており変える気がない
- コードベース全体への深いコンテキスト理解が最優先(→Claude Codeが適切)
- 数十ファイルを一括変更・PR自動レビューが主な用途(→Codexが適切)
- 個人向けサインインは個人Googleアカウントが前提のため、Google Workspaceアカウントしか使えず、かつGoogle Cloud(Gemini Enterprise)経由の法人導入も選べない環境
- デスクトップアプリを追加インストールしたくない(VS Code / JetBrains などの拡張機能という選択肢はあります)
Antigravityとは
Google Antigravityは、2025年11月18日にGoogleが発表した「エージェントファースト」のAI開発プラットフォームです。
従来のコード補完ツール(GitHub Copilotなど)が「人間が書くコードを補助する」のに対し、Antigravityは 「AIエージェントが自律的にタスクを実行する」 というアプローチを取ります。
主要な特徴
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| エージェント型 | タスクを指示するだけで、AIが自律的にコードを書き、テストし、修正する |
| マルチエージェント | Antigravity 2.0で複数エージェントを同期・非同期に管理し、サブエージェントも扱える |
| マルチモデル | Gemini 3.7 / 3.6 / 3.5 Flash、Gemini 3.1 Pro、Claude Sonnet 4.6(Thinking)、Claude Opus 4.6(Thinking)、GPT-OSS 120Bから選択 |
| ブラウザ操作 | エージェントがローカルのChromeを開いて読み取り・操作し、スクリーンショットや操作動画をArtifactとして残す |
| クロスプラットフォーム | Mac、Windows、Linux対応 |
3つの入り口(2026年8月時点)
初出時のAntigravityは「Editor View / Manager View」を持つ1つのIDEでしたが、2026年5月19日のGoogle I/O 2026でAntigravity 2.0が発表され、構成が変わりました。
Antigravity 2.0(エージェントのコントロールセンター) 公式ドキュメントいわく「前身であるAgent Managerとは異なり、IDEから独立して動作するスタンドアロンアプリケーション」です。Projectでエージェントがアクセスできるフォルダ・リポジトリの範囲を決め、Local Mode(作業フォルダで直接動く)かNew Worktree Mode(隔離したGit worktreeで動く)を選んでエージェントを起動します。
Antigravity IDE(コーディング向け) VS Codeベースのエディタに、Agent・Tab補完・ブラウザエージェントが統合された画面です。コードを書きながらAIに指示を出す、従来のAIコーディングに近いワークフローです。ただし公式ドキュメントには「Antigravity IDEはエンタープライズ顧客向けにはサポートされない」と明記されており、法人利用ではAntigravity 2.0かCLIを使います。
IDE拡張 / CLI(既存環境に混ぜる) 2026年8月20日にIDE拡張が発表され、VS Code・Visual Studio 2026(プレビュー)・JetBrains系IDE・Zed・Xcodeから、それぞれのエディタを離れずにAntigravityのエージェントを呼べるようになりました。ターミナル派にはAntigravity CLIもあります。
セットアップ手順
必要な環境
- macOS 12(Monterey)以降 / Windows 10(64bit)以降 / Linux(glibc 2.28以上)
- Chromeブラウザ(エージェントにブラウザ操作をさせる場合)
- Googleアカウント(個人向けサインインは個人Googleアカウントが前提。公式FAQは「Workspaceアカウントで問題が出る場合は@gmail.comを試してください」と案内しています)
- 18歳以上であること、および提供対象地域にいること(公式FAQに対象国リストがあります)
Step 1: ダウンロードとインストール
公式サイトからOSに合ったインストーラをダウンロードします。
# macOSの場合(Homebrewでもインストール可能)
brew install --cask antigravity # Antigravity 2.0(スタンドアロンアプリ)
brew install --cask antigravity-ide # Antigravity IDE
brew install --cask antigravity-cli # Antigravity CLI
Step 2: Googleアカウントでログイン
初回起動時にGoogleアカウントでの認証を求められます。個人利用なら個人のGoogleアカウントでログインしてください。法人は「Business account」からGoogle Cloudプロジェクト、Gemini Enterpriseアカウント、あるいはWorkforce Identity Federation(Okta等の外部IdP)でサインインします。
Step 3: プロジェクトを作る
Antigravity 2.0では、エージェントがアクセスできる範囲を「Project」として定義します。
左サイドバーの「+」→ New Project → Add Folder でフォルダ/リポジトリを追加 → Create
複数フォルダを追加すればリポジトリ横断のコンテキストをエージェントに渡せます。指示を入力してEnterを押すと、Local Mode(作業フォルダで直接動く)かNew Worktree Mode(Git worktreeで隔離して動く)を選ぶモーダルが出ます。
Step 4: モデルを選択
会話の入力欄の下にあるモデルセレクタから、推論モデルを選択します。
| モデル | 選べる思考レベル | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| Gemini 3.1 Pro | High | 複雑なロジック、アーキテクチャ設計 |
| Gemini 3.7 Flash | Medium / Fast | 日常的な開発作業(最新世代のFlash) |
| Gemini 3.6 Flash | Medium / Fast | 日常的な開発作業 |
| Gemini 3.5 Flash | Medium / Fast | 軽微な修正、コード補完 |
| Claude Sonnet 4.6(Thinking) | ― | 大規模ファイルの理解 |
| Claude Opus 4.6(Thinking) | ― | 難易度の高い設計判断 |
| GPT-OSS 120B | Medium | オープンウェイトモデルを試したいとき |
Flash系(Medium)が日常使いにはバランスが良いです。複雑なタスクのときだけGemini 3.1 Proに切り替える運用がコスト効率が高いでしょう。選択したモデルは会話内で固定され、実行中に変更しても現在のターンが終わるまでは前のモデルが使われます。
モデル世代について(2026年8月時点): Flash系は世代交代が速く、公式ドキュメントの一覧では Gemini 3.7 Flash / 3.6 Flash / 3.5 Flash の3世代が同時に選べます。一方でPro系は上位の Gemini 3.5 Pro が度重なる延期で2026年8月末時点でも一般提供に至っておらず、Antigravityで選べるProモデルは引き続き Gemini 3.1 Pro だけです。なおサードパーティ製モデル(Claude系、GPT-OSS)はEnterprise(Gemini Enterprise Agent Platform)経由の利用では選択できません。
実践的な活用パターン
パターン1: Antigravity IDE / IDE拡張での日常開発
Antigravity IDE(またはVS Code・JetBrains向けのAntigravity拡張)は従来のAIコーディングに近い使い方です。
// エージェントサイドバーに指示を入力
「このReactコンポーネントにローディング状態を追加して」
「このAPIエンドポイントにバリデーションを追加して」
エージェントがコードを生成し、差分をプレビューとして表示します。承認すればファイルに反映されます。
エディタ側が向いているケース:
- 1ファイル〜数ファイルの修正
- バグ修正
- 機能の小さな追加
- コードレビューの指摘対応
パターン2: Antigravity 2.0での並列開発
Antigravity 2.0の真価は複数タスクの同時実行です。
Agent 1: 「ユーザー認証のAPIエンドポイントを実装して」
Agent 2: 「認証画面のUIコンポーネントを作って」
Agent 3: 「認証フローのテストを書いて」
3つのエージェントが並列で作業し、それぞれの進捗をAntigravity 2.0で確認できます。New Worktree Modeを選べば各エージェントがGit worktreeで隔離されるので、ファイルの取り合いも起きません。
Antigravity 2.0が向いているケース:
- 新機能の開発(フロント + バックエンド + テストの並列実行)
- 大規模リファクタリング
- 複数のバグを同時に修正
パターン3: ブラウザエージェントでのWeb開発
Antigravityは「ブラウザを内蔵している」のではなく、専用のBrowser SubagentがローカルのChromeを開いて読み取り・操作します。実行はユーザーの個人データと切り離された専用のChromeプロファイル内で行われ、URLのAllowlist / Denylistで到達範囲を制御できます。
- エージェントにWebアプリを実装させる
- ブラウザエージェントが自動で画面を開いて確認
- UIの問題点をスクリーンショットで指摘
- エージェントが修正を実行
操作の様子はスクリーンショットや操作動画としてArtifactに残るので、「何を見て何をしたか」を後から検証できます。ブラウザツール自体はユーザー設定の「Browser」セクションから完全に無効化することも可能です。
Claude Code・Codexとの比較
クイック比較表
| 項目 | Antigravity | Claude Code | Codex |
|---|---|---|---|
| 提供元 | Anthropic | OpenAI | |
| インターフェース | GUI(スタンドアロンアプリ + IDE + IDE拡張) + CLI | ターミナル(CLI) | ターミナル + Web UI |
| 主要モデル | Gemini 3.1 Pro / 3.7 Flash | Claude Opus 5 / Sonnet 5 | GPT-5 Codex系 |
| マルチエージェント | Antigravity 2.0(標準機能) | Task(サブエージェント) | Cloud実行(並列) |
| 価格帯 | 無料〜(Google AI Pro $19.99/月、Ultra $100 / $199.99/月) | $20/月(Pro)〜$100〜$200/月(Max) | $8 / $20 / $100 / $200/月(Go〜Pro) |
| 得意領域 | 並列タスク・GUI操作 | 深いコンテキスト理解 | 大規模一括変更 |
| プラットフォーム | Mac / Win / Linux | Mac / Win / Linux | Mac / Win / Linux |
使い分けのポイント
Antigravityが向いているケース
- 複数の機能を同時に開発したい(Antigravity 2.0)
- GUIで視覚的にエージェントを管理したい
- Webアプリの開発でプレビューを頻繁に確認する
- Googleエコシステム(GCP、Firebase)との連携が多い
Claude Codeが向いているケース
- 長いコンテキストを活かした大規模コードベースの理解
- ターミナルベースのワークフローに慣れている
- Skillsによる高度なワークフロー自動化
- 精度の高い設計判断が必要
Codexが向いているケース
- 数十ファイルの一括変更(Cloud実行)
- GitHub連携でPRの自動レビュー・修正
- ChatGPTのエコシステムを活用したい
- API経由での自動化パイプライン構築
詳しい比較は Claude Code vs Codex実測比較 も参照してください。
併用パターン
実は最も効率的なのは併用です。
| シーン | おすすめツール | 理由 |
|---|---|---|
| 新機能の設計 | Claude Code | 深い文脈理解で設計判断が正確 |
| フロント+バック並列開発 | Antigravity | Antigravity 2.0で同時進行 |
| 大規模リファクタリング | Codex | Cloud実行で一括変更 |
| バグ修正 | Claude Code / Antigravity | どちらも得意 |
| コードレビュー | Codex | GitHub統合でPR自動レビュー |
| プロトタイプ作成 | Antigravity | ブラウザエージェントでUI確認が速い |
料金比較(2026年8月時点)
| プラン | 月額 | 含まれるもの |
|---|---|---|
| Antigravity Individual | $0 | 全モデルへのアクセス、無制限のTab補完・Command、週次のベーシックなレート制限 |
| Google AI Pro | $19.99 | 緩和されたレート制限(5時間ごとにリフレッシュ)+AIクレジットプール |
| Google AI Ultra(中位) | $100 | Pro比5倍のレート制限(2026年5月のGoogle I/Oで新設) |
| Google AI Ultra(最上位) | $199.99 | Pro比20倍のレート制限。同じくI/O 2026で $250 から値下げ |
| Claude Pro | $20 | Claude Code(Sonnet 5まで) |
| Claude Max 5x | $100 | Claude Code + 5倍の使用量、Opus 5も利用可 |
| Claude Max 20x | $200 | Claude Code + 20倍の使用量 |
| ChatGPT Go(Codex) | $8 | Codex軽量利用(2026年1月〜全世界展開) |
| ChatGPT Plus(Codex) | $20 | Codex基本機能 |
| ChatGPT Pro $100(Codex) | $100 | Plus比5倍のCodex利用枠 |
| ChatGPT Pro $200(Codex) | $200 | Plus比20倍のCodex利用枠 |
法人向けに「固定月額のAntigravity Enterpriseプラン」は存在しません。 法人利用はGoogle Cloud経由のGemini Enterprise Agent Platformによる従量課金(Organizationプラン)で、Google Cloud Terms of Serviceの下で提供されます。またAntigravity単体としてのSOC 2 Type II / ISO 27001の取得状況は公開されていないため、要件が厳しい場合は導入前にGoogleの営業窓口で確認してください。
日本からはAIクレジットを買えません。 追加のAIクレジットはGoogle AI Pro / Ultra加入者のみが2,500・5,000・20,000といった単位で購入できますが、Google One ヘルプに「AIクレジットは日本では購入できません」と明記されています。日本で使う場合、上限に達したらプランのクォータがリフレッシュされるのを待つか、上位プランに移るかの二択になります。
詳しい料金比較は AIコーディングツール料金比較2026年版 を参照してください。
注意点・Tips
- 個人向けサインインは個人Googleアカウント前提: 公式FAQは「Workspaceアカウントで問題が出る場合は@gmail.comを試してください」と案内しています。ただし法人向けの導線は別にあり、2026年7月31日のv2.5.0でGemini EnterpriseアカウントとWorkforce Identity Federation(Advanced SSO)でのサインインが追加されました。企業導入はこちらを使います
- クォータ消費に注意: 複数エージェントを同時に動かすとレート制限に達するのが早くなります。並列実行の使いすぎに注意
- モデル選択がコスト直結: Gemini 3.1 Pro(High)は高精度ですが消費も多いです。日常作業はFlash系で十分
- Git連携: Antigravity 2.0はGit worktreeでのエージェント隔離に対応し、v2.10.0(2026年8月24日)でサイドバーにGitネイティブのバージョン管理が入りました。一方でGitHubのPRレビュー自動化のような連携はCodexほど作り込まれていません
まとめ
Google Antigravityは、マルチエージェントの並列実行とブラウザを操作できるエージェントが最大の武器です。
Claude Codeの深いコンテキスト理解、Codexの大規模一括変更と組み合わせれば、開発効率は大幅に向上します。まずはサブスクリプション不要のIndividualプラン($0)で試してみて、自分のワークフローに合うかどうかを確認してみてください。
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