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この記事の対象: 動物病院の院長・開業獣医師の方
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先にやるべきこと: 急患の受け入れ可否の判断基準を担当者の頭の中から外に出し、断った急患と圧迫された予約を記録に残す
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見込める変化: 「枠がないから」で緊急度の高い急患を断る、緊急でない飛び込みで予約診療を圧迫する、といった判断のばらつきが減ります。判断そのものが速くなるわけではなく、受付の入力はむしろ少し増えます
「ワクチンの予約は、来週まで埋まっています」。そうお答えした30分後に、ぐったりした犬を抱えた飼い主さんが診察室に駆け込んでくることがあります。多くの動物病院で、珍しくない場面ではないでしょうか。
このとき奪い合っているのは受付の手間ではありません。同じ獣医師・同じ診療時間という、増やすことのできないリソースそのものです。受け入れるかお断りするかの判断自体は、経験のある受付なら電話口で数秒で出せます。問題は、その判断の基準が担当者の頭の中にしかなく、結果が正しかったのかどうかを後から振り返る材料が残らないことです。
予約枠と急患は、同じ診療時間を取り合っている
動物病院の診療時間には、ワクチン接種や定期健診のような「予約診療」と、いつ来るかわからない「飛び込み急患」が同居しています。どちらも同じ獣医師の手と同じ診察室を使うため、片方を優先すれば、もう片方の余地は自動的に削られます。
- 予約枠を隙間なく埋めるほど、急患が来たときに診る時間そのものが存在しなくなる
- 逆に急患用の余白を厚く取ると、予約が取りにくくなり、ワクチンや健診の集患機会を先に逃す(電話口で「今週は空きがありません」とお断りし続けることになります)
- 症状の緊急度は電話越しの説明だけでは判断しづらく、受付の経験差がそのまま受け入れ判断の差になる
- 院長が手術中や不在のときは、受付が自己判断で答えるか、折り返しにして飼い主さんを待たせるかのどちらかになる
窓口を一本化すれば解決しそうに思えますが、実際は診療時間という有限のリソースを、確定した予約と不確実な急患にどう按分するかという配分の問題です。連絡手段を整えるだけでは解けません。
Before / After
| Before | After | |
|---|---|---|
| 受け入れ判断の基準 | 担当者の頭の中(人によって違う) | 問診項目に沿った緊急度の目安を全員が共有 |
| 院長不在時の判断 | 受付が自己判断、または折り返しで保留 | 同じ目安で一次評価し、最終判断だけ獣医師へ |
| 断った急患・圧迫した予約 | 記録に残らない | 件数と時間帯が残り、翌月の枠設計に使える |
| 急患用の余白 | 経験と勘で固定 | 急患が集中する時間帯の実績から調整 |
人手の工程は減りません。受付が問診項目に沿って聞き取る分、電話1本あたりの手間はむしろ少し増えます。変わるのは、誰が出ても同じ目安で一次評価できることと、判断の結果が残ることです。
どうやって解決するか
Step 1: 断った急患と、圧迫された予約を数える
まず、直近1〜2ヶ月で「枠がない」を理由にお断りした急患が何件あったか、逆に飛び込みを受け入れた結果として予約診療を待たせた日が何日あったかを書き出します。多くの動物病院では、この数字がどこにも残っていません。残っていなければ、急患用の余白を厚くすべきか薄くすべきかを、経験以外の根拠で決められません。
Step 2: 打ち手を比較する
| 選択肢 | メリット | デメリット | 判定 |
|---|---|---|---|
| 急患用の枠を固定時間で毎日確保する | 判断がシンプル | 急患が来ない日は枠が丸ごと空き、その根拠も更新されない | — |
| 院長の経験と勘でその場ごとに調整する | 状況に応じて柔軟 | 院長不在時に判断基準がなくなり、受付の経験差がそのまま出る | — |
| 緊急度の目安と空き状況を仕組みで突き合わせ、判断と結果を記録し、最終判断は人が残す | 誰が出ても同じ目安で一次評価でき、実績が残る | 問診項目の整理と受付の入力という手間が増える | ✅ 採用 |
playparkに動物病院での導入実績はまだありません。ただし「一次判断を仕組みに任せ、人は最終確認だけをする」構造は、他業種で実測しています。記事の確認作業をAIが一次判定するようにしたコンテンツ運用の実例があります。この実例では、人が最初から全件見ていた確認作業を、AIの一次判定と人の最終確認に置き換えました。その結果、4ヶ月で月次セッション数が約1,500から約16,500に、問い合わせ件数も月3〜5件から月45件に増えています。効果の中身は「速くなった」ことではなく、確認の基準が人によってぶれなくなり、見落としが減ったことです。動物病院の場合は、一次判定の対象が記事ではなく電話口の症状になります。
Step 3: 人の最終判断は残す
緊急度の一次評価は、症状の重さを保証するものではありません。あくまで「先に診るべきかどうか」の目安を提示するだけにとどめ、実際に診るかどうかの判断は受付・獣医師に残します。ここを機械任せにすると、誤判定で手遅れになるリスクの方が大きいためです。仕組みの役割は、判断を代行することではなく、判断の目安を揃えることと、結果を残して次の枠設計に生かすことです。
まとめ
| 指標 | 変化 |
|---|---|
| 受け入れ判断の基準 | 担当者ごと → 問診項目に沿った目安を全員で共有 |
| 断った急患・圧迫した予約 | 記録なし → 件数と時間帯が残る |
| 急患用の余白 | 勘で固定 → 実績から時間帯別に調整 |
予約枠と急患対応は、どちらかを我慢すれば解決する話ではありません。同じ診療時間をどう配分するかという意思決定を、担当者の経験だけに背負わせないことが出発点になります。判断が速くなることを期待して仕組みを入れると、入力が増えた分だけ期待外れになります。得られるのは判断の一貫性と、次の判断に使える記録です。



