GA4 を週次で眺めていたら、参照元の上位に l.threads.com / referral が居座っていた。直近 90 日で 53 sessions。
何がおかしいかというと、自社の Threads アカウントは Instagram 連携で勝手に作られたまま 一度も投稿していない。文字通り 0 件。なのに人が流れてきている。出していないチラシの問い合わせ電話が鳴っているような状態で、これは見て見ぬふりするには気持ち悪すぎた。
GA4 のディメンションを順に切り替えて、容疑者を一人ずつ消していったら、最後に台湾まで辿り着いたので記録します。
まず状況だけ並べる
- 自社サイト: playpark.co.jp
- Threads: アカウントは存在するが運用していない(投稿 0 件)
- GA4:
l.threads.com / referralが 53 sessions / 90 日
自分発信のリンクは Threads 上に存在しないはずなので、容疑者の枠は次の 4 人。
| 容疑者 | 何をしている人か |
|---|---|
| A | 第三者が自社記事の URL を Threads に貼って広めている |
| B | bot / scraper が referrer を l.threads.com に偽装している |
| C | Threads 内検索 / discovery で記事 URL が露出している |
| D | 過去に出した何かが Threads 連携経由で l.threads.com 化している |
Threads 側で投稿を後追い検索できる API は自社では利用できないので、投稿そのものを直接覗き込むことはできない。GA4 の側だけで詰める。
GA4 で取れた事実
GA4 Data API を sessionSource = "l.threads.com" で絞って 90 日分を引いた。出てきた数字は気持ちいいくらい偏っている。
全体
| 指標 | 値 |
|---|---|
| セッション(90 日) | 53 |
| エンゲージのあったセッション | 30 |
| エンゲージメント率 | 56.6% |
| 平均セッション継続時間 | 60.6 秒 |
| ページビュー | 55 |
流入があった日(90 日のうち、たったの 3 日)
| 日付 | sessions |
|---|---|
| 2026-04-07 | 4 |
| 2026-04-11 | 37 |
| 2026-04-12 | 12 |
それ以外の 87 日は 0。「毎月コンスタントに 18 sessions」みたいなおとなしい話ではなく、3 日間に集中したバースト型。何かが弾けた瞬間が確かにあったことになる。
ランディングページ(53 sessions すべて 1 ページ)
| ページ | sessions |
|---|---|
/blog/claude-code-vs-codex-comparison | 53 |
サイト内のどこにも漏れていない。ある 1 記事だけにピンポイントで来ている。
国別
| 国 | sessions |
|---|---|
| 台湾 | 41 |
| 香港 | 4 |
| 日本 | 3 |
| その他(アルゼンチン・カナダ・マレーシア・韓国・英国) | 各 1 |
日本 3。完全に不意打ち。
デバイスとブラウザ
| デバイス | sessions | ブラウザ | sessions |
|---|---|---|---|
| mobile | 51 | Safari (in-app) | 44 |
| desktop | 1 | Android Webview | 8 |
| tablet | 1 | Edge | 1 |
Safari (in-app) と Android Webview は、SNS アプリの「内蔵ブラウザでリンクを開いた」典型的な指紋。
時間帯
14〜17 時台に集中。台湾時間 = JST -1h なので、台湾の 13〜16 時。深夜帯はほぼ 0。
ここまでで、もう犯人が誰か見当はついてしまった気がするが、一応 4 人を順番に詰める。
容疑者を 1 人ずつ消す
容疑者 B(bot / referrer 偽装) — シロ
bot にしては行儀が良すぎる。エンゲージメント率 56.6%、平均滞在 60.6 秒。bot は普通もっと冷たい数字(数秒で離脱、エンゲージほぼ 0%)を残す。ブラウザも Safari (in-app) / Android Webview で、headless 系の指紋ではない。referrer 偽装の bot がここまで自然に振る舞う動機が思いつかないので、外す。
容疑者 C(Threads 内検索 / discovery) — シロ
これは消去法でほぼ即決。自社アカウントは投稿 0 件で、Threads 上に公開コンテンツが文字通り 1 つも無い。検索インデックスに乗る入口が無いので、Threads 内検索の結果に自社が出る余地がない。仮に discovery 経由で薄く配信されているとしても、3 日間にバースト形に集中するパターンとは噛み合わない。
容疑者 D(過去の Instagram 連携投稿) — シロ
Instagram 側でもこの記事の URL は出していない。仮に出していたとしても、フォロワーは大半が日本国内なので、台湾 77% という偏り方は再現できない。これも消える。
容疑者 A(第三者シェア) — クロ
残ったのが順当に犯人。事実とほぼ全部噛み合う。
- ランディングが 1 ページに 100% 集中 → 「特定の 1 リンクが拡散した」とそのまま読める
- 4/11 に 37 sessions のバースト → 「誰かの投稿がその日に伸びた瞬間」がある
- 台湾 41、しかも mobile 98%、しかもアプリ内ブラウザ → 「台湾在住の誰かの Threads 投稿が、台湾のフォロワーにアプリで読まれた」
- 4/11 と 4/12 で 37 → 12 と減衰 → 「投稿の自然減衰」のカーブそのもの
たぶん、台湾のどなたかが Claude Code vs Codex の比較記事を Threads でシェアしてくださって、それが少し伸びた。本当にどなたかは存じ上げないが、台湾の誰か、ありがとうとしか言いようがない。
ただし、Threads の投稿そのものを後追いで検索する API が自社では使えないので、「最有力仮説」止まりで確証は取れない。「拡散元のアカウント名」までは永遠に分からない。容疑者 A の顔は最後まで見えないままの捜査終了です。
言えること、言えないこと
ここまでの観測で、自分の中で線を引いておく。
言える
l.threads.com / referralは 自分が Threads を運用していなくても発生する- 発生時は 特定の 1 記事 / 特定の数日に集中するバースト型になりやすい(少なくともこの観測では)
- 流入元は 拡散してくれた人の所属圏に偏る(今回は台湾)
- bot ではなく 生身の読者
言えない
- これが SEO(検索順位)に効いているか(referral と検索順位の因果は切り分けようがない)
- Threads 上のどの投稿が起点だったか(自社で使える投稿検索 API が無い)
- 同じことを意図的に再現できるか(誰がいつ何をシェアするかは完全に他人次第)
- 「Threads 集客ノウハウ」として一般化できるか(n=1)
「Threads やれば SEO に効きます」と威勢よく書きたくなる材料はゼロ。「自分が出してない場所からも人は来る」という観測事実にだけ責任が持てます。
学びは 2 つだけ
観測 1 件から 5 個も 6 個も教訓を引き出すと、だんだん怪しい自己啓発に変わるので、2 つに絞る。
1. referral の上位は、自分が出していないチャネルも含めて週次で眺める
l.threads.com のように「自分は何もしていないチャネル」が referral 上位に入ってくることは、思っているより普通にある。週次で referral 上位 20〜30 件を 30 秒だけ流し見する習慣を作っておけば、誰かが拡散してくれた瞬間を取りこぼさずに済む。今回も気付いたきっかけは「上から眺めてたら見慣れない名前が居た」だけだった。
2. バースト流入があった記事は、その方向に投資していい
53 sessions が 1 記事に 100% 集中していた、という事実は、「この記事は誰かにとって他人にシェアする価値があった」という極めて素朴で強いシグナル。CV に直結しなくても、その記事のテーマを厚くする方向に編集計画を寄せる材料になる。今回でいえば「Claude Code vs Codex の比較は台湾圏でも刺さる温度感がある」と分かったので、関連記事の優先度を 1 段上げました。
おまけ: もし将来 Threads でも出すことになったら
今回の話とは別件で、将来 Threads にも投稿することになったときに自分が忘れたくない設計メモだけ残しておく。
- canonical を必ず自サイトに固定(重複コンテンツリスクの保険)
og:urlは常にパラメータなしの正規 URL(シェア時に評価が分散しないように)- 投稿本文は要約 + リンクに留める(全文転載は重複コンテンツの種、かつ自サイトに来てもらえなくなる)
- UTM の方針は「全部付ける」か「全部付けない」のどちらかに統一(混在は GA4 集計時に必ず足し忘れる)
この辺りは、自分がやり始めたらまた実測ベースで書きます。
まとめ
3 行で。
- Threads には一度も投稿していないのに、GA4 に
l.threads.com / referralが 53 sessions / 90 日来ていた - ランディング・国・デバイス・時間帯を順に絞り込んだ結果、「台湾の誰かが Claude Code vs Codex の比較記事をシェアしてくれた 3 日間のバースト」 が最有力仮説(投稿そのものは追えない)
- 学びは 2 つ: referral 上位は週次で 30 秒だけ眺める / バースト流入があった記事は伸ばす
「Threads 集客ノウハウ」を語る立場では一切ないが、同じように GA4 で l.threads.com を見つけて「これ何?」と眉を寄せた人の捜査メモになれば。
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